遠くを眺める美顔 -遠くの一点に見つける面白さ美しさ-

暮らしのセンス

プロデューサーとして数多くのアーティストを手掛けてきた井出さん。
ある時、ぽつりとこう言いました。
「遠くの一点を見つめている横顔をとってもらうと、いつもと違う、魅力のある表情がとれるんだよね。」

カメラテクの話かな?
と思いきや、話してくれたのは『遠くの一点』がもたらす素敵な現象について。
いったいどんな話でしょう。


木が、手招きのような動きをしてるんですよ。

「遠くの一点を見つめる横顔。
これがいつもと違う魅力を持っていることには理由があってね。
まず、普通に暮らしてる中で私がやっているお遊びについて少し紹介します。
 
最近、近くを見ることが非常に多いですよね。スマホとかが顕著な例です。
逆に、近くのものから目を離してすごく遠くの一点を見ると、けっこう面白いことを発見することがあるんです。

例えば、木のてっぺんとか、アンテナに止まってる鳥とか、ビルの屋上とか、色々なタワーのてっぺんとか。
一番高い所をずっと見てます。

木だと面白い動きをしたりして。
手招きしているような動きをしていたりするんですよ。
先端の楽しみっていうんですかね。先端恐怖症の逆かもしれない。
これが意外と面白い。 」

気持ちが晴れることも。

「面白さだけではありません。

日常的に近くばっかり見てると、イライラすることばかりです。
近くには常に人がいて、常に目の前に壁があるような感じがしたり。
よくよく考えると、生活の中ってそうですよね。
半径3m以内程度で済んでいるような、そんな感じ。

そんなイライラがある時、遠くの一点をみてると、気持ちが晴れる時があります。
ぼーっと景色を眺めるのではなく、一点を集中して見るのです。
すると、不思議と気持ちが軽くなっています。

心の中がラッシュアワーのようにぐちゃぐちゃしてる時、私もこの方法に頼っています。」

見ながら、何かを想像する。

「中級編としては、てっぺんを見ながら、何かを想像することもおすすめです。
先ほどの方に、木が手招きしてるみたいに見えたり、何本かのアンテナがウサギみたいに見えたり!
想像するとより面白いです。

そうやってみると、いつのまにか何かがすっきりしてることが多い。
『遠くの一点』を見ることは、そういうお遊び兼、気持ちを楽にする私なりの方法 です。」

井出さんによる「手招きする木」の画

心はある程度距離を求めていると思う。

―なぜ 遠くを眺めると、心がすっきりしたり気持ちが晴れたりするんですかね。

「そう。理由を考えた時に、”心はある程度、距離を求めている”ものなのではないかと思いました。

接近ストレスみたいなのがあるんですよね。
ちょうど気持ちの良い距離っていうのも状況によっても変わるだろうけど、それにしても、近いものが多い。
スマホや都会の密集が知らないうちにストレスになっていたり、別のストレスを助長していたりするのでしょう。

そんな時、遠くを見て距離を外してみる、ほぐしてみる。
そんな、距離遊びみたいなものをしてみるといいのかもしれません。
これは、音でも同じです。
遠くの音を聴くことで起きる心の変化も、ものすごくあります。
(これはまた別の記事でお話しますね)」

遠くを眺める横顔は美しい。

「『遠くの一点』にはこのような良いことがあるもんだから、遠くの一点を見ている顔というのにも、魅力が詰まります。」

―これが、冒頭の話に繋がるんですね。

「そう。
遠く眺める横顔には、すごく透明感があって、普段また違う魅力が出てきます。
遠くの一点を見る横顔を、自撮りでも他撮りでもとってみて下さい。
インスタ映えは接近の写真が多いので、ぐっと美顔になります。

おまけ的なことなんですけど、だからこそ、そこに自然と美しさが表れてくるんですね。」

浦上咲恵

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Sound Writer / Sound Stylist。井出さんと一緒に仕事をしながら感じる、浴びる程の「ゾクゾク」感を届けたいと思い、日々執筆しています...

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