サウンドプロデューサーはよく歩く?独特の歩き方を聞いてきた。
「散歩中や移動中にアイディアが浮かぶ」という話はよく聞きますね。
サウンド・スペース・コンポーザー井出 祐昭もその例にもれず、いつのまにかオフィスを飛び出し散歩に出かけています。今回は、そんな井出さんにこだわりの「歩き方」を聞いてきました。さて、サウンドプロデューサ-は何故歩き、どこへ出かけて、何を見ているのでしょう?
歩く理由? ― 「ただの興味本位だよ」
―まず、そもそもなぜ歩くのか、その理由はありますか?
「健康のために歩いている人はよくいると思いますが、私の場合、そうではないですね。
何で歩くのか?と聞かれると、『ただの興味本位だよ』としか出て来ません。
歩くのが好きな人は分かると思います。だから飽きないんですね。」
ほとんどイヌ状態
「歩くときは、 毎回ルートが違います。
誰かと一緒に歩く帰り道は迷惑かけないようにまっすぐ行くけど、一人でいる時は『こっちの道ってどうなってるんだろう?』と、先がどうなってるのかを知りたくて楽しんじゃいます。
ほとんどイヌ状態。
景色を楽しむポイントは「色」
―自分なりの景色の観方など、こだわりはありますか?
「音の仕事をしておいてこういうのも変ですが、圧倒的に『色』で楽しんでします。
そこの紫を曲がったら青が出てくる、じゃあそこを左側に行くと何がでてくる?
そう思うととワクワクしますね。
一般的にはここに坂道があって、下っていくと商店街が見えて来て…と地形やシンボル等そこにあるモノを楽しむことが多いかと思うのですが、完全に色だけで見ていくんです。 キャットストリートは特にワクワクの連続です。
道の覚え方も色なので、結構曖昧になってしまうのが難点ですが、逆に新鮮に感じられていいのかもしれません。 」
同じ道でも、毎日違う光にふわぁと満たされる
「同じ景色でも、光の入り方によってやたら綺麗に見えることがあります。
最近、オフィスから下北沢までしょっちゅう歩いているのですが、何故下北に行くことになったかというと、元小田急線沿い新しい道を発見したところからでした。そこにあたる夕焼けが本当に綺麗で。
うっとりというか、小恍惚感(Peek Experience)を感じるんです。
ふわあと、みたされるものがある。
それで最初に行ってしまったんですよね。
毎日おんなじ日でも、光は日々変わります。そこにどうしても引き込まれてしまいます。 」
一言で言えないところが音に似ている
「散歩をしていると、そこの場所に感じることはなかなか一言では言い表せないものだなあと感じます。下北までの道で、それを強く感じました。
レトロのような、寂しいのと懐かしいのと切ないのと、ワクワク感が入り混じっている。一つの感情ではないんですね。
これは、音にも言えることです。ただ、複合的だからと言って複雑ではない、純粋なところがあります。そういうところに惹かれているのかもしれません。 」