シンセサイザーのおじいちゃん

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初期のシンセサイザーは、PCと同じように結構巨大でしした。
オシレーターというところや音を変化させるフィルター等、
シーケンサーの一つ一つが独立した機材になっていて、
しかもその沢山の機材が 一つ一つのアナログユニットに
なってしまっているためこんなにでかくなります。
今はこういうものを全部計算でやって、スマートになっています。

でも、このおじいちゃんの音、きれいですよね。
自分も同じようなものを持っていました。

どこか宇宙的で透明感があり、柔らかい感じ。
モノラルのシンセならではの音色的な魅力があります。
電子楽器なのに、一つのアコースティック楽器みたいな音色、
そういう良い位置付けだったのだと思います。
今みたいに、ピアノやトランペット等の音が出る訳ではないけど、
狭い範囲で色んな音が出るのも面白いです。

ただ、超アナログなので、電源入れてから音程が安定するまで
なんと30分位掛かることは、今となっては想像を逸するでしょう。
しかも電圧が変わるとピッチも変わっちゃう。
こんな風に結構扱いが大変だけど、それでも音色が美しいので、
久しぶりに聴けたらいいなあと思っちゃいました。

今のシンセもこれに近いようなものも出ているのですが、
「近いけど違う」というものが多くあります。
逆にこれが今後の電子楽器のポイントになるんじゃないかと思います。

家なんかでも、木の様だけど違う、ギミック的なものがありますよね。
本物志向じゃないけど、それはそれで成立してる。
凄い近いけど、違うという、ここの一抹の寂しさや空虚感を
どう埋め合わせるかが今後の課題ですね。

浦上咲恵

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Sound Writer / Sound Stylist。井出さんと一緒に仕事をしながら感じる、浴びる程の「ゾクゾク」感を届けたいと思い、日々執筆しています...

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