アリの目さんぽ

暮らしのセンス

今日は、「虫の目で見たような低い視点で散歩をするとどういうものが見えるだろう?」という話をしたいと思います。

まず、2005年に行った愛知万博についてお話します。
その中でいくつかのパビリオンを担当していました。

中でも人気だったのは瀬戸愛知県館で行ったパビリオン。
会場の近くにあった里山の木の中の音を300本以上録音した大企画です。
足元や空間全体から音が出て来て、至る所から音を出感じるパビリオンです。

パビリオンの考え方としてはこうです。
近くにあるもの(例えば植物や虫等)が人が聴こえるくらい大きな音を出していたら、簡単には殺せなくなる。
音を通じて命の存在を簡単に体験してもらうことで、命やエコの感覚を記憶として残すきっかけにできたらと思い行いました。

映像担当は、栗林さんという「アリの目カメラ」みたいなものを使ってアリの目で見た景色を撮っている方でした。
例えば、映像の中で途中カマキリが出てくるのですが、アリの目なので6mくらいのカマキリなんです。びっくりしますよね。

私は、この考え方をいつの間にかさんぽに応用していました。
意外と、景色って自分の目の位置からしか普段は見ないですよね。
あえて視点を変えて、しゃがんで低い所から見ると犬の目みたいに、
芝生に寝っ転がると虫の目みたいになって、全然違う世界が見えてきます。
つまらない世界のように仮に感じていても、このように視点を変えることに
よって結構面白いことが起きていることが分かります。

このようなことをさんぽに取り入れると良いのではないかと思います。

実は、音でも同じようなことが言えます。
例えば、木の表面にいるアリは、木の中を流れる音を振動として聴いていると思いますし、ネコやイヌなんかは、人間の倍くらいの高さまで音が聴こえていて、高い方の音に関しては全然違う音を聴いているということがあります。

どうしても自分中心に考えて世界が一つのように見えてしまいますが、
実は色々な見方、聴き方をしている動物や虫がいる!

こう考えると楽しくなってきませんか?

浦上咲恵

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Sound Writer / Sound Stylist。井出さんと一緒に仕事をしながら感じる、浴びる程の「ゾクゾク」感を届けたいと思い、日々執筆しています...

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