振動

暮らしのセンス

さて、これは何の写真でしょう?


正解は…

これは、サックスの「マウスピース」という吹く部分を
ものすごくクローズアップしたところです。
楽器は機能美と言われますし、実際本来音楽をやるための道具ではありますが、
実際はこれを超えて一つの美術品という感じです。

これは何をする所かというと、振動の節のような機能を果たします。
木に見える部分は葦でできたリードという場所。
これが振動し、共鳴し、大きい音になって楽器から出て来ます。
これは、その振動の節をつくろうという新しい発想のもので、
この2つのカブトムシの角みたいなものが押してる所が振動の節になります。

ノイズも含めた色々な振動で音を創っています。

楽器には振動するもの、例えば唇、リードや弦があり、
その振動が響く身体(楽器そのもの)があります。
その、振動するものの中に、実は弦等の分かり易いものだけではなく
付属品のようなものや、何かを伝えるための棒などもあります。
このような周辺的なパーツも全部が振動しているんですね。
もちろん、その中にノイズなども入ります。
ノイズも含めた色々な場所の振動で一つの音を創っています。
実はすごく複雑な振動をして個性を出しているんですよね。

このように色々なところが一辺に振動すると、実は効率が悪く、
大きい音を出すために大きな力が必要になります。
最近の楽器はよくできていて、この効率の悪さをなくそうと、
無駄な振動をしないようになっています。
ただ、その分ノイズが含まれた音が少なく、
単調な音になってきてしまっているとも感じます。

ノイズあっての音色、人間

人間もそうですね。
メインのキャラクターとして、その人の性格というのはありますが、
その周辺にサブ的な表情も色々と持っています。

いい人だと思っていても、ダークな部分がちょっと垣間見えたりとか、
にこにこしていても寂しいところが表情でひょっと出てきたり、
落ち着いた人に見えても、指先ではトントン机を叩いていたり。

メインじゃない部分やノイズもあってその人がある、という方が
深さがあっていいんじゃないかと。
楽器の音色の作り方に学んだことです。

浦上咲恵

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Sound Writer / Sound Stylist。井出さんと一緒に仕事をしながら感じる、浴びる程の「ゾクゾク」感を届けたいと思い、日々執筆しています...

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