ダメが本当に悪いか?
プロデューサーおすすめ
楽器関連で、100年前付近の部品を集めています。
100年もすると色々な人が使ったり、色々な目に合ったりしてきたことでしょう。
紫外線を受けたり、粗く使われたり、落とされたり…色々ありつつもずっと使われてきました。
すると、形が悪くなったり、合わさるところが上手く行かなかったり、
本来左右対称なところがアンバランスになったりと、
ダメなことが出て来ます。
それを良くしましょう、ということで
アンバランスをバランス状態にしたり、
穴も全部ふさがるようにしたり、曲がってるところを治したり。
今考えられるような正しい健康的な状態を目指すのが普通かと思います。
しかし、ダメなところを治すと何が起こるかというと、
ただ、ひたすらつまらなくなります。
何の個性もなく、100年前の香りがなくなります。
確かに健康にはなったんだけど、不健康の方がよかったと。
音楽にとっては、その方が魅力的なのですね。
昔の記事でも、「心の傷が宝物」といった話をしましたが、
結局その「ダメがいい」ということがいっぱいあるんですよね。
ダメなところが、味やキャラクターになっていることがあります。
ダメなままどういう風に個性を活かしていくのか?
それが最近の研究課題です。
結論としては、とんでもなくダメでない限り、直しちゃダメ!
ということが分かりました。
年代や関わってきた人や、環境など…
一定年数通り抜けてきたものは、歪んでいたとしても、そこに正当性がある。
そういうことも関係していると思います。
直せばいいというもんでもない、いい楽器が良い教科書になりました。